5月24日に秋山木工代表の秋山利輝が中国にある鄭州(ていしゅう)という街で講演会を行いました。

講演会のテーマは、“匠の精神”です。

秋山利輝の著書「丁稚のすすめ」の中国語訳が販売されることにともない、秋山木工で実践している丁稚制度がどのような内容なのか?また、なぜそのような厳しい制度を導入しているのか?一流の職人を目指すために必要な心構えとは、どのようなものなのか?などを講演会で話しました。

講演会の様子をお伝えしていきます。

匠の精神を海外に伝授する

2016年以降、中国では「匠の精神」が流行語になってきたそうです。

中国のように市場が成長し拡大している社会状況では、激しい競争がうまれます。そのような時代で個人も企業も生きていくために必要な指針が“匠の心”です。

日本には“職人”と呼ばれる人がたくさんいます。一流の技術だけでなく、一流の心を身につけた人こそが、一流の職人と呼ばれるのです。秋山木工が目指していることは、一流の技術と一流の心を持った、一流の職人が育つ環境をつくることです。

今の時代、中国に必要な“匠の心”や“職人の精神”を学ぶために開催されたのが今回の講演会です。

日本で最後の丁稚制度を堅守する秋山木工

秋山木工の創設者である秋山利輝は、自分自身の中にたくさんの明確な尺度を持っています。それは「職人心得30ヶ条」にあるような厳しい環境として知られています。

秋山木工に入学できた生徒は、男女を問わず坊主になります。

そして1年のうち2回しか実家に帰ることができず、外部とのやり取りは手紙のみ、携帯電話はもちろん、小遣いや恋愛も禁止されています。

このような厳しい制度を作っている理由を秋山利輝は講演会でこのように話しました。

 

「厳しいルールを作ることの最終目的は、心を磨くことにあります。

これは、清純で強く、凝縮された匠の精神です。木工の技術がどこまで完璧かを求める必要はない。

重要なのは精神。純粋で本気、こういう魂が神様につながっている。」

日本には職人がたくさんいます。みな、一生をかけて一つのことに専念しています。それは単なる繰り返しではなく、心とモノが合致したまさに禅の世界です。これを秋山利輝は「天命に生きる」と言っています。

そして、秋山利輝は自身の天命を「次世代に家具を残すのではない。心を残す。願いは自分を超える職人を10人育てることだ」と講演会で話しています。

人間性は技術より重要 

技術の優れた品はたくさんあります。しかし、秋山利輝がもっとも重視するのは親孝行です。それが、原点であると考えています。

「親孝行しない人は、

  • 小さいところでいえば、(親孝行せずに)どうやってお客様に良いサービスができるのか?
  • 大きいところでは”(親孝行せずに)どうやって国に良いことができるのか?

私は、弟子を雇い入れる時に、なぜ一流になりたいのかを聞きます。もしその時親を安心させたいという気持ちがなければダメです。もしも親を安心させ、喜ばせることが原点にあれば、どんな逆境でも乗り越えられるはずです。

これはごく当たり前の目標です。親を喜ばせ、感動させ、驚かせる。その気持ちがあれば毎日早起きすることも、夜遅くまで仕事をするという厳しい生活も続けられます。」

“匠の精神”日常の伝授

秋山木工では、1分間自己紹介ができない人は丁稚になれません。これは自己紹介は人材育成にとって大事なことであると考えているからです。1分間自己紹介は、3段階に分かれています。

まず、最初の20秒で自分と家族について話します。次の20秒では、これまでで誇りに思えることを話し、最後の20秒で夢や天命について話します。

会場では、「職人心得30ヶ条」の発表もありました。

弟子達は毎日1回、1年365日、さらには秋山木工を訪問するお客様があればその前でも暗唱をします。その回数は1年で1万回以上になります。

このように繰り返し暗唱することで、職人心得30ヶ条は、知らない間に丁稚達の意識に溶け込み、その血肉となり、やがて実行へとつながっていきます。

秋山木工の人材育成

秋山木工の人材育成の大事な要素として、自己紹介の他にもう1つ重要なことがあります。それはスケッチブックです。

これは、丁稚達が毎日記録を書き、親へ送り、親からのコメントが書かれたものを秋山木工に返してもらいます。

1年で少なくとも12冊、5年の丁稚生活が終わる時には60冊にもなります。

5年の丁稚期間が修了し職人になる時に、秋山社長からプレゼントとして、この5年間のスケッチブックが贈られます。

これは、皆さんが心をもって修行をした証であり、また1つの記録でもあります。

まとめ

今回の講演会は、秋山利輝の著書「丁稚のすすめ」が中国訳で発売されることにともない開催されました。

このように、世界へ向けて発信する機会がいただけることや、秋山木工の取り組みが世界で評価されることに感謝し、一流の技術と一流の心を身につけた職人を育てるために、これからも職人の育成に力を入れていきます。

「丁稚のすすめ」では、秋山利輝のこれまでの経験や丁稚に求める心構えなどを紹介しています。

今回の講演会をきっかけに、日本の誇る“匠の心”が少しでも世界へ広がっていけば幸いです。

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