鉋(かんな)やノミといった現場で使う道具は職人の命です。

一流の職人は自分の使う道具への思い入れやこだわりが強く自分の手の一部として使えるようになるまで使い込みます。

秋山木工でも、丁稚のうちから自分の道具を手作りするるようにし、道具の大切さを体に覚えこませていきます。

ここでは秋山木工の丁稚達が自分の道具を持つまでの流れを追いました。

今回は、カンナを作るところを追い、紹介していきます。

自分の道具を持つことが職人への第一歩

カンナについて紹介します。

カンナとは、木の表面を削るための道具です。

一流の職人ほど、薄くムラなく削ることができ、カンナの扱い方を見ればその職人としての腕がわかるとも言われています。

無垢材のテーブルを作る時の仕上げに使用したり、2枚の板を合わせる時に表面を整えるために使用したりします。

使う用途に合わせて大小様々なカンナがあり、年月を重ねるほど本数が増えていく道具の1つです。

カンナができるまで

カンナは、刃と土台にわかれています。

カンナを新しく持つときは、まず使用する刃を決めます。

刃にも様々なこだわりがあり、「この職人が作る刃じゃないと嫌!」という人もいるほどです。

刃が決まれば台を作ります。

台を作るためにまずは木を決めます。台に使う木は白樺の木や樫の木です。

ただ木を削れば良いというわけではなく、木目にこだわりがあったり、色にこだわりがあったり、使う人によって好みは様々です。

木を切り出す職人に自分の好みを伝え、好みの木目に切ってもらいます。

台に使う木ができれば、刃をはめる溝を掘っていきます。

溝は自分の手で掘る人が多く、ここに職人の差がでてきます。

刃の大きさよりも広いとぐらついてしまいますし、狭いと刃がはいりません。

ちょうど良い大きさになるように掘り進めていきます。

こうして1丁のカンナができあがります。

一度作ったカンナは増やすことはあっても買い換えるということはありません。

自分で作った道具をしっかりと手入れし、長く使い続けることも職人に求められる資質の1つです。

丁稚3年目の佐藤さんに、使っているカンナについて話を聞きました。

–これは、自分で作ったものですか?

佐藤:はい!これは、自分で作りました!

–どうやって作っていくのでしょう?

佐藤:まず、カンナに使う「刃」を買いにいくことから始まります。三軒茶屋にある有名な道具屋さんがあって、そこに休みの日はみんなでよく行ってますね。

道具ならなんでも知っている方がいるので、道具の選び方などを教えてもらっています。

–どうやって自分のカンナを選ぶんですか?

佐藤:自分の場合、使う刃の職人さんを決めているんです。カンナはこの人の刃でないと嫌だ!と思ってるので、持っている4丁のカンナは全て同じ職人のものを使っています。

–刃の職人を決めているのですか!?すごいこだわりですね!

佐藤:その人の刃を使いたいと思ったきっかけも、三軒茶屋の道具屋でお話を聞いたからでした。刃を見せてもらって、その方がどのような想いで刃を作っているのか、この刃にどんなこだわりをもっているかを聞いた時に、凄く共感しました。

実際に小さいのを買って使ってみたら凄くよく切れたんです。そこからその人のものだけ使うようにして、今でちょうど4丁揃ったところです。

–台はどうでしょう?

佐藤:このカンナの台は、台を専門に作っている台屋さんがあるので、そこにお願いして作ってもらいました。自分で削ることもありますよ。

自分でつくるときは、まず台に使う素材を注文します。樫の木で作ることが多いです。

次に木目を決めます。この木目がいい!というものがそれぞれの職人さんにあるので、それにそって削ってもらいます。

台に使う木ができれば買ってきた刃と合わせて、溝を掘っていきます。

穴の角度や深さ、大きさを全て計算して、彫り方を考えて掘っていきます。

刃の厚みによって溝の大きさは微妙に変わるので、そこは練習あるのみですね。

–1つ作るのに、どのくらいの時間がかかるのでしょうか?

佐藤:自分だったら2~3時間で1台できるぐらいです。学生だったら1日かかることもありますね。

自分の道具を作る時間は、仕事の中には無いので時間を見つけてやらないといけません。道具を触る時間をいかに作るかも、効率よく仕事をすすめるためには考えておかないといけないことですね。

台ができれば、焼印を入れて完成です。

–焼印の字は誰が書いたのですか?

佐藤:これは、自分で書きました。名前を書いたものを焼印屋さんに頼み、そのまま掘っていただきます。

–刃の手入れはどのようにされていますか?

佐藤:常に研いで使える状態にしています。削っていると刃がボロボロになるのでいつでも使えるようにしておかないといけません。

丁稚のみんなで手入れしている時は、お互い研いだ刃を見せ合って

「この角度いいね!」

刃の刃先まで綺麗に研げてるね!」

などと言い合いながらやっていますね。笑

まとめ

一流の職人が使う道具へのこだわりについて紹介しました。

いかがでしたでしょうか?

道具は家具職人にとっては命そのものです。実際に社長である秋山利輝が使用しているカンナも、秋山が初めの給料で購入したものをずっと使い続けています。

道具を自分の手足として使えるようになるために、日々修行に励んでいきます。

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